
概要
教育現場におけるICT活用が求められる中、「情報」は知識やノウハウの伝達のみならず、デジタルファブリケーションの普及に伴いモノのデータも含まれ、より分野横断的な意味を持つようになりました。慶應義塾大学ファブ地球社会コンソーシアム高大連携ワーキンググループでは、2016年から2018年の2年間、高校、大学などの教育機関、自治体、企業などが連携し、テクノロジーを活用した教育コンテンツの提案と充実化を目指した活動を行なってまいりました。主に2つのテーマがあり、ひとつは「実学の情報授業レシピ構築と実践」。もうひとつは「未来の情報教育を先導する教育者の育成」です。分野や地域を越えて連携していきながら、現場が抱える課題やその共通項を実践を通じて理解していくことで、「未来の情報教育」のあり方を模索していきました。
主な目的

1. 実学の情報授業レシピの構築と実践
情報を受け取るだけでなく、情報技術を使いこなして自ら創造し、新たな情報社会に自分
でも参画できることを体験する教育リソースを構築・実践を促進させていく
・高校および大学での情報教育を対象として、情報技術を実践的に活用して創造的に課題解決する
体験を生む「実学の情報教育レシピ」の学習のあり方や機会を提供
・高校および大学での既存の情報教育カリキュラム内で実践できるよう工夫し、大学の授業や
高校生を対象としたワークショップでレシピを実践を目指して作成されています。
2018年経済産業省 「未来の教室」事業にて採択され、湘南学園中学校高等学校の情報科にて実践と効果検証の機会を得ることができました。

2. 未来の情報教育を先導する教育者の育成
2022年の高等学校における「次期学習指導要領」実施を前に、拡張する「情報」の概念を理解し、教育現場で実践的に教えられる情報科教員を育成に寄与していく。
・教育関係者を対象としたワークショップを通じて未来の情報教育を先導する教育者を育成促進
・レシピの構築・実践から得られる知見を凝縮し、デジタルファブリケーションやIoTなど新たな 情報社会を踏まえた学びの機会を誰もがオンライン上で触れることができるように提供
授業レシピ事例
授業レシピ 事例1: 福岡雙葉学園

文部科学省が進めるスーパーグローバルハイスクール(SGH)に認定されている福岡雙葉学園のサマープログラムでの実践事例。身近な課題設定から解決策としてのアイデア提案から試作づくりをデジタル機械を活用したプロトタピングづくりを行う。試作からフィードバックを得ることで実社会とのつながりをつくりながら学んでいきます。
授業レシピ 事例2: 慶應義塾大学SFC

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスのGIGA プログラム(Global Information and Governance Academic Program)で行われている、実習ベースのデジタルファブリケーション基礎。初心者を対象にデジタルファブリケーションの基礎から模倣、応用、プロトタピング制作を行う。課題発見能力、提案力、実装力を一連の流れを体験する講義です。

プレゼンテーションもFabbleを活用して行う

プレゼンテーションもFabbleを活用して行う
今後の公開予定内容・レシピ
・導入編 : 変化する情報のあり方と社会、なぜ新たな取り組みを理解するための基本的な授業など
・高校の先生らと開発するオープンソース授業モデュール (課題発見 / アイデア出し / デザイン・プロトタイピング制作 / ドキュメンテーション)
・授業レシピ集 (オープンソース化した授業モジュールの実践編、現場に則した改変編、現場から出てきた新しいレシピなど)
・FAB 3D CONTEST と連携した取り組みやワークショップレシピ紹介 : 非デザイナーのためのデザイン教室
実践レシピでは、Fabble (ファブル)* を使用しています
Fabbleとは、「Fab」プロジェクトのための、ドキュメンテーションサービスです。Fabとは産業用に使われていた工作機械の小型化/インテリジェント化と、Webの普及を背景とした「作り手、使い手の文脈やストーリーと深くひも付いたものづくり」です。現在の産業システムが解決しにくい個別の、しかしときに切実な問題を解決することができると期待されています。Fabプロジェクトを対象としているので、「作り方」だけでなく、ものづくりに密着した作り手/使い手の文脈やストーリー=ものがたりを伝えやすいような仕組みになっています。具体的には、プロジェクトの始まりに制作メモや試行錯誤の過程を整理することから、プロジェクトの終わりに、制作物を再現するための最小限の情報=レシピをつくり、共有することまでをサポートしています。
実践型体験ワークショップ : つくりかたの未来講座
公開される授業レシピをより有効なものにするため、奈良県教育委員会と奈良県内の教育関係者、高校生と共に授業レシピを用いて実際にワークショップを行います。
授業レシピ : テクノロジーと社会 つくりかたの未来編
かつては工業製品の試作開発用に「RP(ラピッド・プロトタイピング)」という名前で活用されていた立体造形技術が、いま「3Dプリンタ」という親しみやすい呼称とともに社会に広がりはじめています。社会の中での可能性や展開性については、まだ十分に知られていないのではないでしょうか。
授業レシピ : アイデアをカタチにするトレーニング アイデアスケッチ編
アイデアの検討や試作(プロトタイピング等)を行うためには、事前にアイデアを共有し、理解を深めていくことが大切です。 その方法のひとつに「アイデアスケッチ」があります。紙とペンさえあれば、誰でも簡単に短い時間でアイデアを出し創造することができます。
授業レシピ : アイデア出しトレーニング マンダラート編
アイデアを形にするための第一歩として、身近な課題を発見するためのアイデア出し
(発想)の方法のひとつ、マンダラートを活用した方法をご紹介します。
授業レシピ : アイデアをカタチにするトレーニング
MESHデザインパターンカード編
モノとセンサーがつながり、これまでにないアイデアをカタチにすることが可能になりました。また、MESHでどんなことができるのかアイデア出しを行うための「MESHデザインパターンカード」の使い方を紹介します。
授業レシピ : アイデアをカタチにするトレーニング 3Dデザイン編
3Dプリンタでモノをつくる(出力する)ためには、3Dデータが必要となります。 このレシピでは簡単なコップの作り方の手順を学ぶことで、3Dモデリングの基本的な知識を身につけることを目的としています。
授業レシピ : アイデアをカタチにするトレーニング レーザーカッター編
レーザーカッターを使ってものづくりをしてみましょう。必要となるデータをAdobe Illustratorで作成していきます。今回の課題は「ネームタグ」づくりです。
授業レシピ : アイデアを伝えるトレーニング UX/UIデザイン編
物事をデザインし提案する上で考えていくとても大切な要素としてユーザーエクスペリエンス(User Experience 以下 UX)があげられます。サービスを通じてユーザーが体験することが、全てUXとなります。
授業レシピ : アイデアを伝えるトレーニング Fabble編
ものづくりのプロセスは、ものをつくる・完成させることを前提としながらも、その過程を記録し他者に伝えることも同じくらい重要です。これからものづくりをするにあたっては、このFabbleの使い方レシピを参考にして常に記録・発信することを意識していきましょう。
授業レシピ : アイデアを伝えるトレーニング 2Dデザイン編
ベクターデータ、ラスターデータなどのデータの特性、ポスターや印刷物のデザイン、さらにデジタル工作機械を活用するためのデータ作成など行うための基本的な操作方法を学んでいきます。